「Major revisionsってどういう事でしょうか?論文を投稿したら、ジャーナルからこんな返信があったのですが…」
こちらは、ある著者から寄せられた質問です。
▼エダンズで英文校正のプロが「再投稿」のサポートを行っています▼
経歴を見て校正担当者が選べます
英文校正の詳細はこちら
確かに「major revision(メジャーリビジョン)」は、大がかりな作業のように聞こえるかもしれませんので、この方が慌てるのも無理はありません。そしてそれは、実際に大仕事となる場合があります。しかし、その作業は実行可能なはずのもので、本来は、実施するべきものなのです。事実として、ジャーナルから大幅修正の要求があった場合、それは実は良い知らせと言えます。
なぜって?
エルゼビア(Elsevier)は、すべての投稿論文の内、2021年は14.5%、2020年は14.7%しかアクセプトしませんでした。ですから、「メジャーリビジョン」の条件が課されたと言うことは、残りのリジェクトされてしまった85.5%(2021年の場合)に入っていないことを意味するからです。
もちろん、すべての論文が修正の段階を通過するわけではありません。しかしエルゼビアは以前、メジャーリビジョンの要請は、小さな修正依頼である、minor revision(マイナーリビジョン)と比較しても、アクセプトの可能性の減少は、わずか16%程度と報告しています。
決して悪くない確率ですよね。
結局、ジャーナル編集部の下す「major revision」が意味するものは何?
端的に言えば、「major revision」は、しなければいけないことはあるが、未だチャンスは残されているということです。 素晴らしいリサーチアイデアからスタートした研究論文が、遠からずアクセプトされ、出版される日が来る可能性があるのです。
通常、ジャーナルの編集者は、論文を2人以上の査読者に送ります。major revisionとは、その内最低1人が、出版前にいくつかの実質的な修正が必要であると感じたという事なのです。
ですから、これは完全な失敗を宣告するものではありません。ここでは「リジェクト」こそが、避けるべき失敗を意味するからです。
つまり、もし正しく大幅な修正をすれば、出版のチャンスがあるかもしれません。また、例え大幅な修正を加えても、残念ながらリジェクトされることもあるので、注意深く対処することが求められます。
それには先ず、どうしてメジャーリビジョンの要求がされたのかを正しく理解することが大切です。それでは、実際に何をすればいいのか見ていきます。
論文を投稿し、それに対して決定が下されます
査読のプロセスは、著者にとって常にブラックボックスのようなものだと言えます。本質的には主観的なものですが、どの査読プロセスも、概ね同じ道筋をたどります。
目標ジャーナルを選択し、科学論文を執筆して(またはその逆)、論文を投稿します。
投稿後は、アクセプトされることをひたすら祈ることになるでしょう。もし、時間がかかっている思う場合は、恐れずにジャーナルに送れている理由を尋ねることもできます。
実際、どれくらい待つべきかについては、こちらをご覧ください。
論文投稿後に、査読者とジャーナル編集者は実際に何をするのか?
通常は、次のようになります。
- 目標ジャーナルに論文を投稿する(目標ジャーナル選択支援は、無料のツールが便利です!)
- 編集部チームは、論文をレビューし、ジャーナルのガイドラインとその目的および範囲に準拠しているか確認します。
- もし問題があれば(例:正しくないフォーマット、臨床試験報告ガイドラインに沿っていない、ジャーナルの範囲外の論文)、論文は即時リジェクトされる可能性があります。
出版社で働く、専門家でもあるデスク編集者は、その論文が主題の分野における専門の編集者に渡される前に、このプロセス全体を行います。問題がある場合は、デスクによるリジェクトを受ける可能性があり、その場合、プロセスはそこで止まります。残念ながらリジェクトされてしまったら、(可能であれば)論文を改善し、投稿可能な他のジャーナルを見つけましょう。
- ジャーナルの主題分野の専門編集者が、査読に原稿を送るかどうか決定します。彼らにとってそれが十分興味深いと思えば、査読に送られるのです。
この最初の確認プロセスは、編集トリアージと呼ばれます。医療スタッフが事故の犠牲者に戦略的に対処しなければならないのと同様に、ジャーナル編集スタッフは人材を委任して優先順位をつける必要があるのです。
査読者の決定
最初の査読を通過すると、査読者が個別に決定を下します。
ここではスターバックスのように豊富なメニューはありませんので、査読者が選ぶのは、次の4つのオプションのいずれかのみとなりすます。
- Accept(採択) – 素晴らしい!ただし、1回目のレビューで採択されることはほぼありません。
- Minor revisions(軽微な修正) – 通常、初めての投稿の結果として、これがベストな結果です。
- Major revisions(大がかりな修正) – 「まあまあな」結果です。やるべきことは多いが、まだ土俵に乗ったままだと言えます
- Reject (棄却)– 明らかに良くありません。でも、どのように改善することが出来るかのコメントが付いてくる場合があります。
minor revisionとmajor revisionは、査読後の編集者が下す最も一般的な決定です。
minor revisionと決定された場合、査読コメントの次のラウンドのために元の査読者に戻ることはない可能性が高いことを意味します。これは、多くのジャーナルの実際の規定で、著者は速やかに修正を行い、再投稿します。
ジャーナル編集者は、おそらくあなたの変更した内容、独創性、カバーレターの書き方に基づいて、あなたの論文に対する最終的な決定を下すでしょう。
対して、major revisionの決定は、より多くの作業を行う必要があることを意味しています。
▼エダンズで英文校正のプロが「再投稿」のサポートを行っています▼
経歴を見て校正担当者が選べます
英文校正の詳細はこちら
再投稿前に、論文のmajor revisionをどのように行うか
大幅な修正が必要と決定が下された論文の著者は、おそらくこのようなメールを受け取るでしょう。多くの場合、これらは自動生成されますので、個人的に捉えないでください。
Dear Dr. _______ ,
I have now received referee reports for your paper entitled “xxxx”, which are detailed below. As you can see, the reviews suggest that MAJOR REVISION of your paper is required.
(________ 様、「XXXX」と言うタイトルの論文の、レフリーレポートを受け取りました。詳細は以下の通りです。ご覧の通り、査読はあなたの論文にmajor revisionが必要であると示しています。)
次に、必要な修正の詳細が続きます。
怖いことを言われているように聞こえますが、実際はそうではありません。これは、実際にはどんな意味があるのでしょうか。分析してみましょう。
先に述べたように、ジャーナル編集者は、論文を2、3人の査読者に送ります。そして、少なくとも1人は論文には大幅な変更が必要であると感じたということです。ただし、いくつかの追加の作業や説明により、これらの問題を解決することが可能です。
これは、major revisionとして解釈されます。それ故、まだゲームは終わっておらず、論文をより良く修正することができるのです。もし、うまく修正することが出来れば、出版の可能性が高まるか、少なくとも論文の改善の可能性が見込めます。
major revisionの要求の後、何をすればいい?
簡潔に言うと、要求された修正を行います。査読の決定に同意するかもしれませんし、しないかもしれませんが、議論をしないことが最善です。 査読があなたの意図を誤解したり、不必要、または不適切な解析を実施すべきだと主張する場合、同意しない理由を、専門的かつ丁寧な説明を徹底して行うことが必要です。
このステージにおけるおすすめのテクニックは、
- コメント付きのレターを受け取ったら、ワードドキュメントかグーグルドキュメントにコピーします。
- 変更する箇所を、色を決めた1色のみでハイライトし、変更を行います。
- それらを変更する際、原稿に対する改善の方法と理由を詳細に記したリスポンスレターを作成します。
- もし要求に同意しない場合、別の色で記入します。そしてそれらのハイライト箇所にも対応する必要があります。
- スペルや句読点などの小さな変更をハイライトし、またそれらの変更も行います。
次にすべてをまとめて、再投稿します。
Major revisionの要求に対する、適切な回答時のトーンと構成は?
回答レターのカバーには、礼儀正しく、編集者と査読者があなたの論文に時間を費やしたことに感謝を述べることから始め、丁寧な構成を心掛けます。
次に、論文に必要と思われる主要な改善にどう対処したか、そして論文が出版にふさわしいことを明確に伝えます。
ここで重要なのは、査読者全員があなたの回答を読み改善を評価することはほぼ確実なため、それぞれの査読者に対して、丁寧に対応することです。
例:
査読者 1 のコメント:“This is indeed an interesting discovery. However, the lack of an ABC3 Test makes it hard for me to accept the validity of the data. I suggest you perform the ABC instead of the XYZ.(これは、興味深い発見です。ただしABC3検定がされておらず、テータの検証性を受け入れるのは困難です。XYZの代わりに、ABCを実施することをお勧めします。)“
もしあなたが同意する場合、回答をこのように書き始めます:“We thank Reviewer 1 for this suggestion. Accordingly, we performed an ABC3 Test…(この提案に関し、査読者1に感謝します。助言に従い、ABC3検定を実施しました)”
もしあなたが同意しない場合の書き出し:“We thank Reviewer 1 for this suggestion. We understand the rationale of performing an ABC3 Test; however…(この提案について、査読者1に感謝します。ABC3検定を実施する理由も理解 します。しかし…)”
再投稿の形式は、対象となるジャーナルや出版社が使用するソフトウェアにより異なります。ここでは、ジャーナル回答レターを掘り下げています。
ジャーナルは、major revision後の再投稿をどう取り扱うのか
先に述べたように、最初の投稿と同じ査読者(達)があなたの論文を査読するよう依頼されます。
編集者は、”Do you think the author(s) of this paper made the necessary changes to their work, considering the first round of comments? Is this manuscript now acceptable for publication?(この論文の著者は、最初のコメントを考慮し、研究に必要な変更を加えたと思うか、この論文は現段階で出版にふさわしいか)”と査読者(達)に尋ねます。
この時点で、先ほどの4つの選択肢のメニューに戻ります。うまくいけばあなたの論文は採択されるかもしれませんが、おそらくは、さらにいくつかの修正を加える必要があるでしょう。
「リジェクト」以外の決定は良い事であり、「大幅な修正」は実際には良いニュースと言えるため、「リジェクト」されない限りは、全力でそのゲームでプレイし続けてください。
査読への対応に関して、サポートが必要な場合
このプロセスには時間がかかります。特に英語が母国語でない場合、査読を理解し、適切な回答のトーンを見つけるのは非常に難しい場合があります。 エダンズは、論文の修正と回答を支援するためのサービスを行っており、論文のアクセプトのチャンスを高めます。投稿後の大幅修正を回避するために、論文の投稿前に事前査読を行うことで、最終的には出版までの時間の節約にも繋がる可能性が高まります。もちろん、著者自身で出来る事もたくさんあります。その際には、この記事がお役に立ちますことを祈っています。
▼エダンズで英文校正のプロが「再投稿」のサポートを行っています▼
経歴を見て校正担当者が選べます
英文校正の詳細はこちら