レビュアーとの正しいコミュニケーションについて

査読コメントの受領と回答レターの作成

ジャーナルへの投稿後、査読コメントを受領したら、すべての査読コメントに番号を付け、明白で完全な回答をする必要があります。もし、査読者の提案に同意する場合は、同意する旨と論文をどのように修正したかを述べましょう。以下は査読コメントと、それに対する回答例です。

査読コメント:The standard deviation is large in the data described in Figure 3, so ANOVA should be used after confirming the normal distribution.

著者コメントへの回答:We agree with this suggestion, so have modified our statistical analyses. ANOVA was performed after first carrying out logarithmic transformation of all variables. We have described this change in the Statistical Analysis part of the Methods section (page 4, lines 15–20). We also modified our Results (page 7, lines 2–6) and Discussion sections (page 9, lines 11–13) and have redrawn Figure 3 based on the revised data. 

査読コメントと著者の回答を識別するために斜字を使っていること、論文の修正か所に対する明確な説明を述べていること、そして修正を行ったか所を示すためのページ番号と行番号を含んでいることに注目しましょう。ページ番号と行番号は、論文のすべての修正が完了した後に入れることをお勧めします。これにより、論文を再投稿する際、(回答レターに)正しいものが示されます。

査読者のコメントに同意する際ジャーナル編集者は、著者が本当に査読者の懸念を理解しているのか、なぜ著者が査読者に同意したのかを知りたいということ覚えておいてください。また、どのような修正を行ったか、修正箇所と共に説明しましょう。ジャーナル編集者は大変多忙なため、著者が行った修正箇所に関する全ての情報は、回答レターで明確に分かるようにしましょう。

査読者に同意できない場合の対処法

査読者の指摘に同意できない場合、著者は反論のため、反証を準備することになります。査読者と反対意見を持つこと自体は認められていますが、なぜ同意できないかを説明しなければなりません。このような場合、査読者に敬意を払い、丁寧になぜレビュアーの意見に同意できないかを説明します。

著者の査読コメントに対する反論を支持するために、引用を用いるのも有効です。もし可能であれば、査読コメントに沿って、少し論文に修正を加えましょう。それにより、著者が過度に防御的な態度をとっているのではなく、批判や助言を受け入れていると示すことでしょう。これは科学の研究において、重要なことです。

査読コメントに同意できない場合の回答例

査読コメントへの回答:Although we acknowledge that the use of ANOVA would enable us to better compare our findings with those of other studies, our data did not follow a normal distribution so we could not perform this analysis. Therefore, we re-analyzed our data based on the Leverhaus model (Leverhaus et al., 1978) and have modified the Methods section to describe this analysis (page 4, line 8). We also revised Figure 3 and added two sentences to the Discussion to explain this model (page 10, lines 1–3). 

研究分野における専門家 (ピアレビュアー)が、あなたの研究において何がどのように行われたか、混乱している場合は、あなたが論文の中でそれを明確に述べていないことを意味します。したがって、レビュアーのコメントに同意しない場合も、読者の混乱を避け、研究内容を明白にするため、原稿を修正する必要があると考えられます。

回答チェックリスト

次のリストは、査読コメントに回答する際、役に立つでしょう。 

  • 礼儀正しく回答する
  • コメント毎に、順番に回答する
  • もし同意しないコメントがある場合、なぜ同意できないかを説明し、反論を支持するエビデンスを示す 
  • 査読コメントと著者の回答がきちんと区別できるようにする。異なるフォントや文字の色、太字もしくは斜体、または段落のインデントを使う 
  • 論文の本文の変更を明白にする。修正箇所は太字や異なる文字の色、もしくはハイライトで示し、削除か所は取り消し線を使う。または、本文中にページ番号や行番号を入れ、編集者が修正箇所を容易に探せるようにする(例:page 4, line 8; page 12, lines 13–20)
  • 追加実験の実施や、図表の削除、統計学者と協議の上追加した新たな統計分析など、大幅な修正を行った箇所につき説明する
  • 同僚に助言を求める。
    あなたの研究をよく理解している他の研究者たちからの、別の視点を得ることも大切です。所属するグループ外からの意見を求めることで、一歩下がってより広い視点から研究を見直すことが出来るでしょう
  • ジャーナル編集者から示された修正原稿の締め切りを守る
  • 再投稿時は同じ論文番号を使用する
  • 論文のタイトルを変更した場合は、回答レターの冒頭に元のタイトルを書き、タイトル変更の理由を説明する