いくら素晴らしいアブストラクトを完成させても、そもそも読者に見つけてもらわなければ読まれる可能性は著しく低いと言えます。では、読者に論文を見つけてもらうにはどうしたらいいのでしょう?それには、2通りの方法があります。1つ目はタイトル、もう1つはキーワードを効果的に使うことです。
とにかく論文を見つけてもらい読んでもらうために、エダンズのエキスパートが豊富な経験から得たヒントをまとめました!
タイトル/表題(title)
タイトル/表題(title)は、論文の中で、読者が一番最初に目にし、多くの場合、唯一目を通す部分です。効果的なタイトルは:
- 簡単かつ簡潔である(文の形を成す必要はない)
- 読者の興味をそそり、続きを読みたくさせる
- 論文の内容が的確に反映されている
- 研究の重要な点が強調されている
- 1つ以上のキーワードが含まれている
- 明瞭で分かりやすい(あまり知られていない略語や専門用語を避ける)
論文に良いタイトルをつけることは、簡単ではありません。研究の結果を注意深く分析して論文のアウトラインを書いた後、すぐに「ワーキングタイトル(仮のタイトル)」をつけることをおすすめします。論文全体のドラフトを仕上げ、読者に伝えるべき最も大切なメッセージが何かが固まってから、タイトルを変えることもできます。
効果的なタイトルを書く際の更なる留意点:
- 論文の主題や1番の特長をリストアップし、それらをできるだけ少ない単語を使って繋げタイトルに仕上げる
- 変数、材料、用例、研究領域、期間、研究の種類に言及する
- その後、できるだけ簡潔かつ具体的になるよう、また、「何を研究したのか」、「主な結論は何だったのか」といった質問に答えられるようなタイトルに修正する「A study of (~の研究)」という言葉は使用しない
- 同僚や上司に見せ、フィードバックを得る
目標ジャーナルに掲載されている論文や目次を見て、そのジャーナルで好まれているスタイルを確認する:
- 質問形式のタイトル (interrogative style)
- 主題や目的を示しているタイトル (indicative/descriptive style)
- 結論は何であったかを宣言するタイトル (declarative/informative style)
- コロンやダッシュの後に、(研究の特徴や種類などの)詳細な内容を示す、2つのパートに分かれたタイトル
タイトルの例
悪い例
- Findings about researchers’ knowledge of true and false journal IFs and their experiences of having previously submitted manuscripts to journals with true or false IFs, from an analysis of replies to an online survey study
- Why do researchers publish in journals with false impact factors?
- Researchers do not know about impact factors
例1は長いうえに、不要な言葉が含まれており、あまり知られていない略語も使用されています。 例2・3は非常に短く大まかで、何が研究されたのかが明確に示されていません。また、ジャーナルによっては疑問文や完結した文章、結論が示されたタイトルは推奨されていません。
良い例
Experiences of researchers submitting manuscripts to journals with false impact factors: cross-sectional study
こちらは簡潔で分かりやすく、研究の重要点が伝わってくる、効果的なタイトルです。コロンの前に主題を示し、コロンの後で研究の種類が述べられています。
キーワード
キーワードは、インデクサーやデータベース、ブラウザの検索エンジンで読者によって使われ、検索により関連性のあるタイトル、アブストラクト、および論文そのものを見つけるのに役立ちます。適切なキーワードを含めることでその論文を見つけて読む人の数が増え、被引用回数が向上する可能性も高まります。データベースによっては、決められた語彙(辞書または分類リスト)からキーワードを選択する方法が使用されています。
目標ジャーナルで規定のキーワード数(通常は4~6)とフォーマット(例:英語は米式か英式か、キーワードの順序、句読点の使い方)を確認します。分野ごとのデータベースには語彙を規定するシステムが使われていることがほとんどで、独自の辞書や分類リストが設定されている可能性があるため、キーワードを選択する際は注意が必要です。またジャーナルや学会によっては、独自のキーワードリストを設定している場合があります。
論文を見つけてもらいやすくするため、キーワードは注意深く選ぶ必要があります。効果的なキーワードの条件は以下の通りです。
- 研究の主題、コンセプト、材料・製品、変化要因を表していること
- 研究内容や分野の特性があること(つまり一般的すぎないこと)
- 可能であれば、Medical Subject Headings (MeSH)、Institute of Electrical and Electronics Engineers (IEEE)、Journal of Economic Literature (JEL) Classification Systemなどの分野別キーワードリストに記載されているものであること
- 論文のタイトルに含まれるキーワードの繰り返しではないこと。(ただしキーワードの品詞を変えた形や同意語を使用することもあります。また、ジャーナルによってはキーワードに特定の時期、地理的分布、種類の記載が求められる場合もあります。)
- アブストラクトの後に記載されていること(通常は、アブストラクトの後に記載されます。)
- アブストラクトや本文中でその語句が何回か使用されていること
- 一般的でない略語は避けること
キーワードの例
次のタイトルの論文の場合: “Effects of p53 mutations in bladder cancer cells after hypoxia induction”
悪い例
p53, mutations, mutation effects, bladder cancer cells, UBC cells, hypoxia induction, hypoxia effects
一般的すぎで表題の繰り返しになっており、別のキーワードを反復する略語が使われています。また、指定されたキーワードリストにはない用語が使用されています。次の内容について、目標ジャーナルの規定を確認してください:
- 略語の使用は認められているか
- タイトルのキーワードの同意語や単語の変形が認められているか
- 特別な句読点、大文字、および用語の階層を認めているか
良い例
Cell Hypoxia/genetics; Cell Line, Tumor; Oxygen/metabolism; Tumor Suppressor Protein p53/genetics; Urinary Bladder Neoplasms/pathology
より具体的かつ論文に何が書かれているかをよく表しています。タイトルのキーワードの変形とMeSHが指定する用語が使用されており、句読点が規定通り使われています。
最後に
タイトルやキーワードだけではなく、常に目標ジャーナルの規定を注意深く確認し、読者に論文を見つけてもらえるような、魅力的で効果的なタイトルとキーワードを作成してください。