ウェブカンファレンス。COVID-19により、好むと好まざるとにかかわらず、ミーティングや発表の方法が変化しましたが、ニューノーマルのカンファレンススタイルとして、今後もずっと続く可能性があります。研究者のプレゼンテーションは、益々その舞台をオンラインに移行しているのです。
この変化に不安を感じている研究者の皆さまは少なくないのではないでしょうか。そんな方に、朗報があります。対面式プレゼンテーションのベストプラクティスのほとんどが、オンラインのプレゼンテーションでも使えるのです。ただし、同時に残念な事実もあります。それは、経験豊富な専門家や業界のリーダーを含む多くの研究者たちは、オンラインプレゼンテーションにおいて、簡単に回避できるはずのミスをたくさん犯しているのです。その結果、準備不足と誤解されたり、もっとひどい場合は、専門家にふさわしいとは言えないプレゼンに見えてしまうのです。これぞ、最悪の事態と言えるのではないでしょうか。 そのような事態に陥ることを回避すべく、このチャンスにぜひ、スキルチェックを実施することをお勧めします。
1. 準備不足
内容は適切か、長さは長すぎたり、短すぎていないか、 (下の「時間超過」参照)特に外国語でプレゼンテーションを行う場合(通常は英語)事前に可能な限り多くの練習を重ね、自信をつけることが大切です。その際気を付けることは、セリフを丸暗記するのではなく、何を伝えるかを考えることです(下の「過剰な準備」参照)。
使用する機器に関しては、熟考しなければなりません。カメラ、マイク、もしくはヘッドセットを使うか、特に自分が使い慣れたコンピュータ以外のコンピュータでログインする時には注意が必要です(個人的な経験ですが、コンピュータが動かなくなった時に、急遽同僚や妻のコンピュータを借りる事になったことあります!)さらにWi-Fiの確認も必須です。オンラインカンファレンスでは、プレゼンテーションをするのに十分な通信速度が不可欠です。
口角は上がってますか?背景はすっきりとしていて明る過ぎず、散漫でないものがふさわしいと言えます。必ずヘッドセットかイヤホンを使い、スピーカーは絶対に使わないようにしてください。きしむような機械音や環境音(キーパッドを叩く音、犬の鳴き声や子供の叫ぶ声など)まで伝わってしまいます。
★ 専門家からのアドバイス:オンラインミーティングルームには、早めにログインします。もし自宅から参加する場合は、家族/同居人にオンラインカンファレンスがあることを伝えます。
2. 過剰な準備(がちがち/棒読み)
プレゼンテーションに苦手意識がある人はやりがちですが、すべての言葉を丸暗記してはいけません。退屈に聞こえ、原稿の棒読みになってしまうからです。スクリーンに映し出された原稿と同じものを印刷し、それをそのまま読み上げる人も見たことがありますが、絶対に止めてください。
★ 専門家からのアドバイス:もし準備した原稿から発表しなければいけない事情がある場合は、コンピュータのウェブカメラのすぐ下に、小さなスペースで表示します。そうすることで、(ほぼ)カメラに目線が向き、参加者の方を向いているように見えます。
3. 判読不能または非論理的なスライド
スライドは論理的な順番で提示します。16フォントより小さな文字を使わないようにしてください(モバイルデバイスを使って参加している人もいるかもしれません)。派手なグラフィックや色、気が散るようなアニメーション効果は避けるべきです。伝えるべき内容や感情に関係のない、LUGs(大きい、無駄なグラフィック)も避けます。
★ 専門家からのアドバイス:一枚のスライドに入れる内容にストイックになりましょう。Three-Sixty Rule:3つのレベルのヒエラルキー(タイトル、見出し、箇条書き)、語数は60ワード以内とするルールに厳密に従ってみてください。情報は必要最小限が効果的、「Less is more!」です。
例:TYPES OF DIABETES
Type 1
• can develop at any age
• occurs most frequently in children and adolescents
Type 2
• is more common in adults
• represents about 90% of all diabetes cases
Gestational
• consists of high blood glucose during pregnancy
• is associated with complications to both mother and child
4. 時間超過
発表者の誰かが割り当てられた時間を超過したウェブカンファレンスに参加した経験は誰しもがあるのではないでしょうか。そうならないためには、他の参加者の貴重な時間に留意することが大切です。
★ 専門家からのアドバイス:もし準備した原稿から発表しなければいけない事情がある場合は、コンピュータのウェブカメラのすぐ下に、小さなスペースで表示します。そうすることで、(ほぼ)カメラに目線が向き、参加者の方を向いているように見えます。
★ その他のアドバイス:もし不運にも、時間超過の発表者の次に順番が回って来たら、決して急がないこと。その代わりに、落ち着いて、ゆっくりしたペースで箇条書きしたポイント(上記のスライドの例を参照)を説明します。
5. 手探りの質疑応答タイム
プレゼンテーションを行うずっと前から、聞かれる可能性のある質問を想定し、簡単な解答を準備します。そうする過程で、よくある質問を事前に回避するためにプレゼンテーションを更新することもあるでしょう。
質問を受けた時は、このパターンに従います。
- THANK the asker(質問者にお礼を述べる)
- CLARIFY their question(質問を明確にする)
- REPEAT it for the audience (especially in a webinar or large conference)[(視聴者に向けて質問を繰り返す(特にウェビナーや大きなカンファレンスの場合)]
- ANSWER the question the best that you can (出来る限り質問に答える)
- ENSURE the asker is satisfied(質問者があなたの解答に満足していることを確かめる)
- THANK the asker again(再度お礼を述べる)
★ 専門家からのアドバイス:もちろん予期せぬ質問や、答え難い質問を受けることもあるでしょう。それらの質問により脱線したり、時間超過に陥らないようにしてください。そのような時には、次のようなフレーズで話を転換します。「Thank you — that is an excellent question. Since time is short, can I get back to you afterwards with a proper answer?(素晴らしいご質問、ありがとうございます。残念ながら時間が足りないので、後ほどきちんとしたお答えをさせていただきます。)」
6. 最後に
オンライン発表者には、プレゼンテーション以外にも、ライター、デザイナー、技術者に加えて外交家のような役目も求められます。何よりもコンテンツを明確にし、礼節を踏まえた応対を大切にしてください。 Good luck!いつかウェブカンファレンスでお会いしましょう!
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