未完成論文をアクセプトへ導く5つの方法

科学論文が発表され、研究が世に広まることで、研究者としての地位を確立することが出来るのであれば、未完成のまま、未発表で終わる論文は、失敗と言えるでしょう。しかし、実はそれらの失敗のほとんどは、回避することができるのです。

研究者が論文を完成させないのは、もしかすると「面白くない」研究結果や、セクションの欠落、査読者からの要求への対応に関係するものや、その他の多く要因によります。ほとんどの場合、それでも自分の研究を発表することができるのですが、残念ながら、多くの人があきらめてしまうのです。

本ブログでは、論文が未完成で終わることを避けるための、5つの実証済みの方法をお伝えします。これらの方法は、目標ジャーナルにアクセプトされる期待しつつ、様々な障害にひとつひとつ反応したり、対応する必要がありません。

この記事で学べること

  • 未完成論文、未発表論文を積極的に防ぐための、計画の立て方
  • 研究論文を発表するための成功事例
  • 研究を始める前に、著者名、目標ジャーナル、それぞれの役割を明確にすること
  • 目標ジャーナルに、論文がアクセプトされるめに、エダンズが出来るサポートについて

論文が未完成のまま発表されない理由とは?

研究計画の不備が、論文が完成しない主な理由の1つかもしれません。計画が不十分であったり、そもそも計画自体が作成されていなかったりすると、研究がうまくいかなかったり、有用なデータが得られないなど、研究中に問題が発生することにつながります。

研究計画には、研究や手法の計画だけでなく、アクセプトを目指す、目標ジャーナル選択 や、誰がいつまでに何をするのかといった計画も含まれます。また、著者としての役割や、仲間やリソースなど、学術的なネットワーク などのサポート体制にも及びます。

また、多くの著者が直面する大きな問題に、英語を母国語としない事が挙げられます。もちろん、英語が得意な方もいらっしゃるでしょうが、学術的な文章を書くには専用のスキルが求められます。これは、アクセプトを目指す著者が必ず対処しなければならない、大きな課題と言えます。英語の問題に気を取られている間に、出版時期を遅らせる事になったり、英語でのアクセプトを諦め、母国語のみで研究を発表すると、研究が世の中に与える影響力が大きく制限されかねません。そこで、常に英語での研究発表を念頭に置き、信頼できる言語のサポートを確保することを、研究プロセスの一部として準備することをお勧めします。

多くの偉人は作品を未完成のままこの世を去りましたが、芸術家などに比べ、研究者の場合、未完成の作品である研究論文は、ある程度計画を立てることで回避することができます。では、どうすればいいのでしょうか?実際、未完成論文につながる問題の多くは、先を見越したアプローチで回避することが可能です。つまり、研究や査読を終えてから問題に対応するのではなく、事前に計画を立てることができるのです。そうすれば、障害も少なく、研究を未完成、未発表のまま放棄する機会も少なくなるはずです。 

1. 著者のすべての役割を明確に定義する

著者の役割が不明確な場合、論文にに不備があったり、未完成のまま終わってしまう事があります。論文に足りない部分や、やるべきことがあっても、誰が責任を負うのかが不明確なのが原因です。例えば、著者Aは、著者Bから送られてくる、結果のセクションの原稿を待っているとします。しかし、著者Bは、筆頭著者であるAがすべての執筆を担当していると考えているかもしれません。この例のケースでは、執筆の恐れや、対立が生じる可能性があります。

共著者やその他の協力者について計画を立て、研究開始前にその役割を明確にします。ICMJEガイドラインは、役割を決める上で良い出発点になると言えます。当然ながら、筆頭著者と責任著者の役割は重要です。しかし、それ以上に、各著者や寄稿者が何をするかも大切なのです。全ての著者は研究活動を通じて、自分の時間を提供し、関与することに同意しなければなりません。

そのための1つの方法として、CReDiT オーサーシップステートメントを使用します。CReDiTは、 研究中の各分担者の責任範囲を詳細に記述したもので、最終原稿では謝辞の上に記載することができ、研究全体の透明性を高めることにもつながります。

2. (論文執筆開始前に)適切な目標ジャーナルを選択する

研究テーマと使用する方法が決まったら、投稿可能なジャーナルをいくつかリストアップします。 

論文の引用先が掲載されているジャーナルを見ると、アイデアが浮かびます。無料の目標ジャーナル選択ツールEdanz Journal Selectorを利用すると便利です。ジャーナルの目的をよく確認し、自分のテーマがその範囲に収まっているかどうかを確認します。これらのオプションを事前に決めておくと、投稿時に時間を節約することができます。 

また、そのジャーナルの編集委員会を確認します。そのうちの何人かの名前を知っているのが理想的です。そうでない場合は、そのジャーナルが著者の研究の範囲外である可能性があります。 

初めて論文を出版するのであれば、インパクトファクターや、名声を気にしすぎる必要はありません。また、オープンアクセスジャーナルへの投稿も検討します。そうすることで、著者の研究がより可視化され、影響力が増し、認知度や共同研究、資金調達の機会も増えるからです。 

3. サポートネットワークを構築する

研究者に必要なサポート(知的、精神的、そして経済的)が得られず、論文が完成しないこともあります。

これらの問題は、自分の専門分野や他の分野の仲間と協力し合い、ネットワークを構築することで回避することができます。そうすることで、アイデア、方法論、ツール、新しい資金調達方法などを共有することができるのです。また、新しいスキルを学び、自分の研究に生かしたり、他の人と交流することで、プロジェクトの完遂に向けた意欲が高まります。そして、受け取った以上のものを与えることを常に心がけるようにします。 

ネットワークが広ければ広いほど、共同研究を希望する方が現れる可能性が高まります。つまり、助成金の申請書を一緒に書くことができ、論文を完成させたり、新しいプロジェクトを始めるための資金を得るチャンスが増えるのです。 

LinkedInやResearchGateなどのソーシャルネットワークは、ネットワークパートナーの貴重な情報源であることは言うまでもありません。現在の関係を強化し、新しい関係を構築するために、これらを活用してください。 

4. アクセプトのための「グッド・リサーチ」を行う

誰しも、常に「グッド・リサーチ」、すなわち健全な研究をするよう心がけるべきですが、その概念は、人々の評価を超えたところにあります。研究には、健全な研究とそうでないものがあり、研究の目的が発表することであればなおさら、健全性が重要になってきます。論文がリジェクトになる主な理由には、不十分な方法、弱い仮説や研究課題、欠落や不完全なセクションなどが挙げられます。 

健全に研究を行うということは、つまり科学的プロセスのすべてにおいて、厳格にルールに従うこということです。研究分野におけるベストプラクティスの勧告に従って、検証済みの信頼できる方法論を使用します。その際、研究を開始する前に利用性の分析を行ってください。そうすることで、分析に十分な統計の利用性が得られ、研究を成功に導くことにつながります。

研究を始める前に、研究全体をどのように行うか、詳細な計画を立ててください。そのために有用な透明性のある方法として、新らしく、オープンサイエンスフレームワーク(OSF)などのオープンアクセスプラットフォームに、研究を事前登録することが挙げられます。事前登録することで、研究で何をするのかと、その理由を正当化することができ、「健全な」研究の設計についてより深く考え、作業中に計画を守る手助けとなるのです。

さらに、執筆開始前に論文のすべてのセクションの基本的なアウトラインを作成したり、自分の研究分野で必要なセクションのベストプラクティスを確認してください。

ベストプラクティスに従うことで、ジャーナルが受け取る数多くの論文の中で、自分の論文を際立たせることが可能になり、編集者や査読者もそれに気づき、できれば報われることを期待します。健全な研究をすることで、彼らの仕事も楽になるのです。 

5. サイエンスコミュニケーションと、サイエンティフィックライティング力を向上させる

英語の科学的文章には、一般的に期待されるレベルや基準があります。学術誌には、そのジャーナルに掲載されるために従うべき詳細な規定があります。科学を英語で書くことは、研究者によっては研究のあらゆるプロセスの中でも最も難しいことの1つです。そして、母国語でない言語(ESL/EFL)を使うことは研究者にとって大きな障害となり、執筆や研究発表といった作業を後回しにしたり、避けたりすることにつながります。英語力の不足が、未完成の論文を生み出すことにもつながるのです。 

研究者としてのキャリアアップに伴い、学術的な文章の書き方について日頃から準備をしておくと便利です。事前に科学的な書き方を知り、必要な時に実行できるようにしておくことで、執筆の遅れを防ぐことができます。 学生の方は、大学でサイエンティフィック・ライティングのコースを受講したり、また、どの段階の研究者であっても受講可能なCourseraのWriting in the Sciencesなどのオンラインコースでは、科学に関する簡潔な書き方の例を学ぶことができます。その他、English for STEMもお勧めです。

科学論文執筆の際は、米国心理学会(APA)などの権威ある機関による科学的な文章の最新のガイドラインに従いましょう。参考文献の書式として、すでにAPAスタイルをご存じかもしれませんが、ガイドラインも書式も、心理学に限ったものではありません。これらは世界標準として使用されています。また、APAの資料には、実用的な例も多く掲載されています。 

論文を完成させ、アクセプトへ導く

エダンズでは、校正や専門性など厳しい基準で選定された専門家チームが、27年以上に渡り日本をはじめとする英語を母国語としない著者や多忙な研究者のために、英文校正をはじめ研究のあらゆる段階でのサポートを提供しています。エダンズのサポートサービスはこちらからご覧いただけます。また、ご質問やご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。未完成、未発表の論文に終止符を打つお手伝いをさせていただきます。