アブストラクトで査読者も読者も魅了せよ!

研究論文の読者の大半は、アブストラクトのみを読むことで、自分の研究との関連性の有無や、全文をダウンロードするかどうか(有料の場合があります)を判断します。ジャーナルによっては、編集スタッフまたは編集委員がアブストラクトのみを見て、査読へ進めるかどうかを決めるところもあるほど、重要なパートです。
そのため、アブストラクトでは研究の質の高さや、最も大切な発見・結論を示す必要があります。アブストラクトが満たすべき条件は、以下の通りです:
- 明瞭、簡潔、正確であること
- 読者が理解しやすいよう、知られていない略語・専門用語を避けていること。略語は通常、アブストラクト内で3度以上使われている場合のみ、最初に定義してから使用します
- 本文や図表を参照せず、アブストラクトのみを読んで理解できること
- 図表を含まないこと。ただし「図によるアブストラクト(グラフィカルアブストラクト)」を求めるジャーナルもあります
- 参考文献を引用していないこと。ただしこれが認められている場合もあり、その場合は通常、参考文献は脚注ではなくアブストラクトの本文内に記載します
- キーワードをいくつか含んでいること
早い段階で仮のアブストラクトを書いてみると、論文の構成や自分が伝えたいメッセージを固めるのに役立つことがあります。その場合、最後にもう一度ブラッシュアップする必要があります。アブストラクトの文字数制限、フォーマット、スタイルについては、目標ジャーナルの投稿規定を必ず確認してください。アブストラクトのフォーマットにはBackground(背景)、Methods(方法)、Results(結果)、Conclusions(結論)といった見出しや小見出しをつける必要がある構造的アブストラクト(structured abstract)と、1、2段落のみで小見出しがない非構造的アブストラクト(unstructured abstract)があります。
どのようなフォーマットであっても、アブストラクトには以下の4つの問いへの回答を含めます:
- なぜこの研究を行ったのか
- 研究の具体的な目的・課題や用いた主な手法は何か
- 主な発見は何か
- その発見が役に立ち、重要である理由は何か
ジャーナル独自の指定に関しては、フォーマットと同様に、目標ジャーナルの投稿規定を確認してください。以下は、ジャーナルごとに確認すべきアブストラクトについての項目の一例です。
- 論文の種類によってアブストラクトのスタイルが違うかどうか
- 専門的な用語は避けるべきか。それとも、専門用語を使わないアブストラクトを別途準備すべきか
- トピック、目的、そして論文内容の概要を記述する概論的スタイルなのか、または結果や結論も含むより具体的なスタイルなのか
- 結果を述べる際には主なデータや統計も示すことになっているか
- その他の情報(例:限界や研究が示唆しうる点)を足す必要があるか
- 使用する動詞は受動態のみか、あるいは能動態・受動態の両方が認められているか。また、使用する時制についての指定はあるか
グラフィカルアブストラクトを効果的に用いた最新の研究論文について、エダンズのキャサリン博士が解説しています。あわせてご覧ください。
アブストラクトの例
それでは、実際にアブストラクトを例に見ていきます。
The placement of medical research news on a newspaper’s front page is intended to gain the public’s attention, so it is important to understand the source of the news in terms of research maturity and evidence level.
説明:このジャーナルでは構造的アブストラクトが要求されているため、小見出しが使われています。著者はほぼ能動態を使っています。 Backgroundでは、研究の元となった主な疑問が提示されます。
We searched LexisNexis to identify medical research reported on front pages of major newspapers published from January 1, 2000 to December 31, 2002. We used MEDLINE and Google Scholar to find journal articles corresponding to the research, and determined their evidence level.
Of 734 front-page medical research stories identified, 417 (57%) referred to mature research published in peer-reviewed journals. The remaining 317 stories referred to preliminary findings presented at scientific or press meetings; 144 (45%) of those stories mentioned studies that later matured (i.e. were published in journals within 3 years after news coverage). The evidence-level distribution of the 515 journal articles quoted in news stories reporting on mature research (3% level I, 21% level II, 42% level III, 4% level IV, and 31% level V) differed from that of the 170 reports of preliminary research that later matured (1%, 19%, 35%, 12%, and 33%, respectively; chi-square test, P = .0009). No news stories indicated evidence level. Fewer than 1 in 5 news stories reporting preliminary findings acknowledged the preliminary nature of their content.
説明:このアブストラクトでは方法(Methods)と結果(Results)が同じセクションにまとめられています。また、方法について述べた部分は非常に短く、結果についての記述が大半を占めていることがわかります。これは、読者の最大の関心がこの研究で分かった結果にあるためだと言えます。結果の部分では一般的な事実からより具体的な事実という順序で事実が示されており、主要データも提示されています。この時点で、研究や分析は終了しているため、時制は過去形が使われています。しかし、理論的研究やモデリング研究では、アブストラクト全文を通じて現在形が頻繁に使用されることを覚えておいてください。
Only 57% of front-page stories reporting on medical research are based on mature research, which tends to have a higher evidence level than research with preliminary findings. Medical research news should be clearly referenced and state the evidence level and limitations to inform the public of the maturity and quality of the source.
説明:このセクションでは、何よりもまず主な結論を示す必要があります。このジャーナルでは、発見から示唆されうる点についても述べることが求められています。
おわりに
アブストラクトをすでに作成中の著者の皆さま、今後準備に入る方も、経験豊富なエダンズのエキスパートによるこれらのヒントを参考にしていただくことで、アブストラクトに磨きをかけ、査読者やジャーナル編集者を含む全読者を惹きつける、魅力的なアブストラクト作成にTRYしてみてください!
さらにサポートが必要な方は、お気軽にお問い合わせください。
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