研究者がレビュー論文を書くべき理由

レビュー論文を書いて発表することは、文献に対する自分自身の理解を深め、文献にも貢献し、さらには研究者としてのキャリアや地位の向上にもつながります。

優れたレビュー論文は、すでに発表された文献を効果的に統合し、研究の背景を説明します。他者の研究を批判的に評価し、しばしばそのトピックに新しい視点を提供し、学術分野において新しい道を切り開きます。

特定のリサーチレビューはまた、研究者にとって知識を更に深める上でも非常に重要です。自分自身のため、そして他の研究者のためにも、レビューは貴重な時間の投資なのです。ここでは、レビューがもたらすあらゆるメリットと、レビューの執筆と出版のプロセスをスピードアップさせる方法を説明します。

レビュー論文について知ることで、研究者がレビュー論文を書くべき理由がわかる!

• レビュー論文の代表的な種類と、最も“ハードルが低い”レビューはどれか?

• レビュー論文の執筆は、自身の文章力や、他のスキルも高めるユニークな方法である。

• レビューの執筆に適用される重要な分析の種類とは?

• レビューがどのように引用され、著者の権威を高め、そして何よりも他の研究者の助けとなるか?

レビュー論文作成について、専門家からサポートを受ける方法

「レビュー」とは何か

最も一般的なレビュー論文の種類は、

  • narrative reviews (ナラティブレビュー)
  • scoping reviews (スコーピングレビュー)
  • systematic reviews (システマティックレビュー)

ナラティブレビュー は、ある分野の研究についてのストーリーを語るものです。しかし、通常これは、レビューした研究を評価するものではありません。このため、スコーピングレビューやシステマティックレビューよりも“ハードルが低い”と言えるのです。ナラティブレビューの第一目標は、信頼できる説得力のある議論を提供することです。

ナラティブレビューは、俗にいう科学実験のみならず、例えば、impact of a disaster on mental healthなど、幅広いトピックに沿った内容になっています。ナラティブレビューは、探索的なアプローチに基づいているので、新しいトピックのレビューに最適です。

スコーピングレビューは、総説の一種です。特定のトピックを理解し自身の疑問に答えるのに適しています。包括的なサーチを含み、あらゆるタイプの研究(quantitative、qualitative、 mixed methods)を網羅します。

スコーピングレビューは、全体像の把握に適し、学術的な研究から導き出された様々な視点を提供します。例えば、blockchain’s benefits and threats in healthcareなど、ある程度研究が進んでいる分野の理解を深めるのに有効です。

システマティックレビューは、最も包括的なレビューの一種です。厳密な適格基準を用い、レビューされた研究の質を評価します。システマティックレビューは通常、狭い範囲で焦点を絞った議題を扱い、医療分野でよく用いられます。例えば、ある医療研究者がunderstanding cardiovascular risks associated with COVID-19 among childrenというトピックに関心がある場合、治療プロトコルなどをプラン立てる前に学術的な研究からエビデンスを集める必要があります。システマティックレビューはまさにこのような場合重宝する手段です。

ここで紹介した3つのレビューの中でナラティブレビューが最も一般的なものであり、研究者としての存在をアピールするのに適しているかもしれません。しかし、誰がどのような目的でレビューをするのか、この後、レビューの執筆で得られる様々なメリットについて詳しく見ていきます。

エダンズでは、レビューに関して、様々なコンテンツでご紹介している他、レビュー論文作成サポートなど、充実の著者サポートを提供しています。ぜひコンテンツをご覧いただき、サポートについても、お気軽にお問い合わせください。

レビュー論文を執筆することで、著者自身の知識とスキルの向上につながります

元来、研究者たちは、それぞれの分野の最新の研究開発に遅れずについていきます。レビューを書くということは、結果的に最新動向の把握につながるのです。

レビュー論文を書くことで、最新の研究について学ぶだけでなく、トピックに関する意見を共有することもできます。レビュー論文の執筆で、一研究者として成長し、学術界で重要なコミュニケーションスキルを向上させることができます。

また「学者と実践者のモデル」は、絶え間ない自己研鑽の重要性も強く唱えられています。学術研究を読んで分析することは、より良い専門家になるために不可欠です。また実務家であれば、文献レビューを実施することで、資格や専門的スキルを高めることができます。

研究者として絶対的に必要な「読解する」、「評価する」、「伝える」というステップの全てがリサーチスキルを向上させるといえるのです。

レビュー論文執筆で批判的分析力を向上させる

レビューする作品について、深く批判的に考えることは不可欠です。研究の長所と限界を見極め、その理由を説明できなければなりません。レビュー論文は、ある分野で行われた研究の単なる要約ではありません。むしろ、実施された研究を批判的に評価し、理想的には、そのテーマについて新しい視点を提供しなければならないのです。(これは特に習得が難しいので、必要に応じて専門家のサポートの利用をご検討ください。)

簡潔であること レビューは、詳細なレポートではなく、他者の研究成果を端的にまとめたレポートです。

集中すること 異なる著者の知見の矛盾点に注意してください。

懐疑的になる 欠点と限界を見極めることに重点を置きます。

研究者は、レビュー プロセス中に幅広いクリティカルシンキングと分析スキルを使用します。Falcione’s taxonomy (Falcioneの分類法)によると、批判的思考は次の要素で構成されています。

  1. 解釈
  2. 分析
  3. 評価
  4. 推論
  5. 説明
  6. 自己制御

これらのスキルはすべて、文献レビュー プロセス中に幅広く活用されます。

文献レビューを行う過程では、問題を解決することに焦点を当て、最近の知見の分析、仮説の策定、リサーチクエスチョンへの回答などを取り上げます。これは問題解決型の学習であり、クリティカルシンキングや批判的分析能力を養うのに最も効果的な方法の一つです。

レビューのコーディネートと管理で、さらなるスキルが取得できます

レビュー論文は、多くの場合、長くて複雑です。より良いものを書くためには、大量の情報を調整して管理しなければなりません。したがって、時間を有効に使い、複数のタスクを追跡する必要があります。

またこの作業は、一人で行う必要はありません。別の研究者とレビューを行うことで、研究者同士、研究における協力関係を活用することができます。そして、研究者の人数が多ければ多いほど、バイアスのリスクが低くなります。さらに、他の研究者と一緒に仕事をすることで、調整能力や管理のスキルを身につけたり、すでにあるスキルの向上にも期待できます。

したがってレビュー論文の執筆は、トピックの理解を深め、科学的な英語のライティングスキルだけでなく、組織力、リーダーシップ、および管理能力を高めることができる優れた方法と言えるのです。

文献のギャップ(および欠点やバイアス)を特定するのに役立ちます

レビュー論文を書く際は、文献のギャップを特定する必要があります。そうすることで、さらなるリサーチが必要な領域を特定するのに役立ちます。

また、既存の研究の欠点やバイアスを特定することで、トピックについてより正確な視点を提供することもできます。客観的な基準に基づいて判断する必要があります。研究を比較対照することで、その限界を明らかにし、将来の研究への提案を行うことが可能になります。

ギャップの特定は、文献レビュー プロセスの基本的な目標です。文献レビューは、将来の研究の軌跡を示します。資金やファンディングを獲得したい場合は、通常、ギャップの特定も必要です。

そのギャップを証明し、解決しようとすることで、研究について批評家が尋ねる「だから何?」という質問に答えることができるのです。

Quantitative (量的) または Qualitative(質的) なリサーチを実施するための準備となるレビュー

最初に行う文献レビューは、あなたのトピックに関する既存の研究を理解するためにも不可欠です。研究のデザインを知らせ、研究が適切に構成され、焦点が絞られていることを確認するのに役立つため、包括的で洞察力のあるものでなければなりません。

次の項目を実施することで、文献レビューのプロセスをスムーズに進める上で役に立つ可能性があります。

  1. 仮説を立てる
  2. リサーチクエスチョンを組み立てる
  3. 成果を評価する
  4. 結果の妥当性と臨床的有用性を判断する

文献レビューを行うには時間がかかりますが、文脈を踏まえた質の高い研究を行うためには不可欠です。

文献レビューの執筆で、研究分野での威厳を確立します

レビュー論文は、しばしば高く引用されます。つまり、専門分野の多くの研究者達がその論文を読み、著者の名前とトピックを関連付けることを意味します。これにより、レビュー論文の著者の、分野の専門家としての地位の確立につながるのです。そうした研究者としての経歴を積んでいくことで、さらに認知度を高めることが実現可能となるのです。

文献レビューは、特定の研究上の疑問に答えるための最良の方法論的ツールであるため、本質的価値も非常に高いといえます。

そして、情報を効果的に要約、分析、統合できる研究者は、より早く権威を確立するのです。

レビュー論文を書くことが、自身の研究分野や他の分野の研究者の参考になります

科学レビューを書くことは、特定の研究分野の知識を深めるのに役立ちます。そしてそれは、他の研究者に将来の研究に対する示唆を与えることにもなるのです。また、学際的な研究者はあなたのレビューを参考にして自身の研究アイディアに活かすこともできます。

レビューの実施は、将来の研究のための新しいアイデアと方向性を刺激するものです。レビューを書くことは、他の研究者がその分野の知識を進歩させる努力を支援するのに非常に役立つ方法です。他の研究者に既存のギャップを指摘することで、最も価値のある科学的知識の創造を加速させます。そして、それがスキルの取得と共に、研究者としての影響力を高め、結果的にキャリアの向上につながります。

実際に、レビュー論文を書いてみませんか?

これまで説明してきた通り、レビュー論文を書く事で、学術界に貢献しながら、自身のスキルや影響力を高めることが可能になりますが、それを始めるのも、そしてそれを管理し、最終的に発表するのも難しいように思えるかもしれません。

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