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みなさんが頭を抱えることも多いであろう虫歯。その痛みはもちろんですが、歯医者でのドリル治療が嫌!という人も多いのではないでしょうか?今回ご紹介する研究は、ドリル治療が嫌いな人に明るい未来を見せてくれる、そんな内容です。
この記事では、虫歯治療における赤外線レーザー治療の効果を検証した興味深い論文を、エダンズが誇る健康・医学のエキスパートスコット・ロングが紹介する様子をお届けします。
(Scottによる解説は動画やポッドキャストでもご視聴いただけますので、合わせてご利用ください!)
虫歯治療はドリルだけじゃない?赤外線治療の登場
虫歯は大人から子供まで発生するリスクのある口腔疾患です。実際、アメリカでは、65歳以上の成人の約90%が虫歯の経験があると報告されています。その治療として最もよく使用されるのは、手作業で行うドリルを用いた掘削治療(ドリリング)です。しかし、ドリルによる治療は、周囲の組織に損傷を与える恐れがあり、患者に痛みをもたらすことが問題視されてきました。
そこで登場したのが赤外線レーザーを用いた治療です。今回スコットが見つけた論文「Restoration Integrity in Primary Teeth Prepared Using Erbium/Yttrium–Aluminum–Garnet Laser: A Randomized Split-Mouth Clinical Study」は、その赤外線レーザー治療の効果を検証したものになります。
研究の方法論
この研究では、27人の9歳から12歳の子供たちの乳臼歯のレベル1虫歯(C1虫歯)に対し、手作業のドリル治療と赤外線レーザー治療を行い、その効果比較しています。参加した子供は両方の治療法を受け、その後1年間行われたフォローアップで得られたデータを比較することでそれぞれの効果を検証します。
虫歯に対する赤外線治療の効果はドリル治療と同等!
研究の結果、なんと手作業で行うドリル治療と赤外線レーザー治療の間には、臨床効果に統計的に有意な差がないことが明らかになりました!
具体的には、レベル2の虫歯(C2虫歯)の数や歯石の蓄積の程度において、二つの治療法は同様の臨床結果をもたらすことが示されたのです。すなわち、虫歯治療においては、痛みを伴うドリル治療ではなく、赤外線治療を選択できるということになります。
さらにこの研究では、赤外線レーザー療法が、虫歯治療を阻害する要因となる酸による脱灰を抑制することができることがわかりました。
また、赤外線レーザー治療は歯の微細構造を変化させることにより、詰め物と歯の接着性を高めることで、治療の成功に貢献していることも示唆されています。
この論文の学術的・臨床的影響力は?
今回紹介した研究は、「虫歯治療における赤外線レーザー療法の有望性を示す重要な一歩である」とスコットは言います。また、「研究の限界として、1年のフォローアップ期間が短い点や子どものみを対象にしている点が挙げられるものの、今後は成人の歯においてより長期の研究が行われるでしょう」と述べ、今後の研究の発展に期待を寄せています。
なお、スコットは論文の構成にも着目しており、この論文がテキストの使用を最小限に抑え、表を最大限活用することでデータの解釈を容易にしている点を非常に評価していました。
いかがでしたか?
今回は虫歯治療における赤外線レーザーの効果を検証した論文を、エダンズのエキスパート スコット・ロングが解説しました。今後も興味深い研究について発信を続けていきますので、お楽しみに!
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