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エダンズのティナ博士が解説

論文の可読性への新たなアプローチ
議論の順序による変革とは?
温暖化研究の画期的発見を解説

Quicktakes エピソード008

地球温暖化の影響もあり、熱波を観測することが多くなった昨今。熱中症をはじめ、様々な健康リスクが顕在化する中、将来の熱波の影響に関して予測する研究が発表されました。

この記事では、熱波と健康リスク、そして未来のメガシティに関する興味深い論文を、エダンズの誇る気候学のエキスパート、ティナ博士が紹介する様子をお届けします。ティナ博士が考える、優れた論文を書くためのTipsも必見です!

最新研究をオリジナル動画で解説!

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00:00:地球温暖化の影響を一番受けるのはどこか?

300:30:地球温暖化の影響を測る新たな指標とは?

611:01:ますます熱くなる地球

831:23:論文構成とグラフィカルアブストラクトでレベルアップ

エダンズのティナ博士が解説!温暖化研究の画期的発見

英語プレゼンの参考に!ネイティブの発音で研究を語る

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研究の要点+エキスパートTIPSで深掘り理解

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解説のポイント

  • 地球温暖化のメガシティへの影響
  • 地球温暖化の影響を評価する新たな基準
  • 論文構成の整え方
  • グラフィカルアブストラクトの役割

この研究の背景は?

人口と経済力でメガシティへの熱波の影響を予測!

2023年の夏、北半球の多くの地域では記録的な熱波を経験しています。今後、ますま温暖化が予想されるなか、人口500万人以上のいわゆる「メガシティ」に暮らす人々はどうなっていくのでしょうか?

エキサイティングな研究手法・結果とは?

同じメガシティでも位置とGDPによって熱波の影響は異なる

Wang氏らによる研究「Future population exposure to heatwaves in 83 global megacities」は、この問いに対して、「熱波の頻度×将来の人口予測×GDP予測」の組み合わせという新しいアプローチによって切り込んでいます。

この研究は、世界のメガシティにおける将来の熱波が生じる頻度と人口の増減、国内総生産に基づき、異なる視点で将来熱波に曝されることになる人口数を推計しています。その結果、熱波を記録する日数が年間20日未満の現在から、数十年後には最大3か月まで増加することが予測されました。東アジアのメガシティ(例:東京、上海、香港)では、熱波にさらされる人口が減少する可能性がある一方、南アジアのメガシティ(例:ジャカルタ、マニラ、ムンバイ)では、より多くの人が熱波にさらされる恐れがあることが示されました。また、所得の低いメガシティでは熱波の影響を受ける人々の数が多く、所得の高いメガシティではその数が少ないことが明らかにされました。

専門分野内外へ、研究がもたらすインパクト

研究の新規性と将来性

この研究は、熱波の頻度という健康リスクを測る指標に加え、将来の人口と所得という指標を加えることで、実際にどれだけの人々がこの暑さにさらされるリスクがあるのかを調査した点が新しく、この研究の価値の源泉になっています。より具体的な数字がイメージできるようになったことで、今後の研究や政策決定において役立つことが期待されます。


エダンズのエキスパートが、独自の視点で切り込む!

査読者が読みやすい論文を書くには?

ティナは、この論文を構成面でも高く評価しています。特に以下の三点が優れていたことで非常にわかりやすい論文になっていたと言います。

・順序
・複雑な概念の簡単な説明
・図の適切な使用

この論文は「順序」を重視して書かれており、登場する変数が多いにもかかわらず、序章、結果、考察、結論のどのセクションにおいても、決まった順序で変数について記述しているので、簡単に情報を見つけることができ、理解しやすくなっていました。複雑な変数については、簡潔な説明を付加することで読者が迷子にならないような配慮を行っています。

加えて、論文のストラクチャを伝えるグラフィカルアブストラクト(Graphical Abstract)も掲載しています。これにより、複雑な研究結果を数枚のシンプルな画像で伝えることができています。直感的で目を引く図解抄録は、論文の読者を増やすのに役立つので、活用してみるのも効果的です。 グラフィカルアブストラクトの書き方については、こちらもご参照ください。

いかがでしたか?今回は未来のメガシティにおける熱波の影響に関する論文を、エダンズのエキスパート、ティナ博士が解説しました。今後も興味深い研究について発信を続けていきますので、お楽しみに!

エキスパートが独自の視点で選んだ、エキサイティングな研究をご紹介!

著者
Wang et al.
出版年
2023
掲載誌
Science of the Total Environment

研究者・著者の皆さまを、全力でサポートします

エダンズは、皆様が取り組む研究分野における研究のギャップを見つけだし、論文の校正、最適なジャーナル選択、そして研究の影響力を最大限に高めるためのコンテンツ作成まで、研究の全サイクルで一貫したサポートを提供します。

エダンズ・エキスパートのご紹介

Tina Tin(ティナ・ティン)

海氷地球物理学博士。南極でのフィールドワークと統計解析、海氷モデリングを組み合わせて海氷の形態と動態を探求し、気候システムにおける雪氷圏の役割の理解に貢献した。ヨーロッパとカナダで気候変動の影響を調査する研究チームを統括し、政策立案者向けの報告書を作成した経験を持つ。これまで60本以上の技術論文を発表し、うち15本は査読付き学術誌に掲載されたほか、気候変動と環境科学・管理に関する2冊の本を共同編集・共著している。International Journal of Wildernessのアソシエイト・エディターであり、European Association of Science Editorsのメンバー、Polar Research誌の特集号のゲストエディターでもある。Journal of Environmental ManagementやAustralian Antarctic Science Programを含む国際的な助成団体の査読者を務めるなど査読経験も豊富。

他のエキスパートのコメント
マイケル博士

非常に重要なテーマの魅力的な論文について、非常に良い議論がなされています。気候変動がより深刻になるにつれ、この研究で概説されているような予測モデリングを行うことが極めて重要になるでしょう。この論文では、所得格差に基づく気候変動の影響の不均衡という話題にも触れていて、これを評価することは極めて重要だと思います。

フィリッパ博士

気候変動のニッチな側面を調査した興味深い論文のわかりやすい解説でした。気候変動はすでに農村部などの低所得者コミュニティに影響を及ぼしており、この所得格差がメガシティにも及ぶ可能性が高いことは重要な発見と言えます。メガシティにおける気候変動の影響を緩和するための政策に、この知見をどのように活用できるかについて、著者がどのような示唆を与えているのかにも注目です。

ピーター博士

特に、気候変動と今後予想される熱波の増加を考えると、熱波に曝されるメガシティに住む人々に関するとトピックは、非常に興味深いです。また、ティナ博士が読者の視点から提示している、研究論文を最適にまとめるためのいくつかの重要なヒントも素晴らしいです。

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