Quicktakes エピソード025
私たちが生活する上で欠かせない睡眠。この睡眠の長さは、国や文化の影響を受けることが分かりました。このエピソードでは、各国の睡眠の長さを調査した最新の研究を、エダンズが誇る環境・健康科学のエキスパート、ティナ博士が紹介する様子をお届けします。研究をより魅力的にするためのTipsも必見です!
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睡眠の長さを最新のテクニックを駆使して分析した最新研究とは?エダンズのティナ博士を魅了した論文を4分間で解説します。
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解説のポイント
- ■ 睡眠時間には地域差が存在
- ■ 大規模な睡眠データを収集するための最新テクノロジー
- ■ 睡眠時間の差異を生む要因とは?
- ■ 今後の睡眠研究を発展させるためのポイントとは?
この研究の背景は?
国によって睡眠時間には差異が存在
私たちの日々の生活において、睡眠は欠かせない要素です。しかし、世界中のさまざまな地域で、人々の睡眠パターンには大きな違いがあります。従来の研究では、このような睡眠実験はラボで行われており、通常環境での睡眠時間の測定は難しいとされてきました。
そこで、今回紹介する研究「 Country differences in nocturnal sleep variability: Observations from a large-scale, long-term sleep wearable study 」は、最新のテクノロジーを導入することにより、世界各国の人々の睡眠時間とその質を比較し、文化的、地理的、社会経済的要因がどのように影響しているかを明らかにしようと試みています。
エキサイティングな研究手法・結果とは?
大規模なデータ収集を最新テクノロジーで実現
この研究では、35カ国から集められた23万人以上の参加者のデータを分析しました。この収集において活躍したのが、心拍数、体温、身体活動レベルを測定する指輪型デバイス「Oura Ring」です。実験の参加者はこのデバイスを1年間にわたって着用し、睡眠時間や質をそれぞれの自宅で、リアルタイムに記録しました。収集された大規模データは、クラウドベースのプラットフォームに蓄積され、分析されています。
このような広範かつ通常環境でのデータの収集は、従来の睡眠研究においては稀であり、その規模と精度によってこの研究を画期的なものにしています。
最新のテクノロジーを駆使してデータを収集することに成功した研究の解説もご参照ください。
地域別睡眠パターンの発見
研究の結果、地域ごとに顕著な睡眠パターンの違いが存在することが明らかになりました。特に、北欧や西欧の国々の人々は、アジアの国々、特に日本人と比較して、平均して長い睡眠時間を持っていることが確認されました。また、週末には、平日に比べて5~25分長く睡眠をとる傾向があることも分かりました。
また、研究チームは、こうした睡眠時間の地域差が単に生物学的な違いだけでなく、文化的要因や社会経済的条件によっても影響を受けていることを指摘しています。例えば、ヨーロッパの人々はアジア諸国の人々よりも労働時間が短いことが、長い睡眠時間に寄与している可能性があります。
専門分野内外へ、研究がもたらすインパクト
睡眠研究の新たな基礎データを整備
この研究は、睡眠研究の分野において重要なマイルストーンとなります。従来の研究と異なり、大規模な国際的なデータセットを用いたことで、睡眠パターンに関するより包括的で詳細な理解を可能にしました。このアプローチは、睡眠の質と量が健康、生産性、さらには社会経済的な側面にどのように影響するかについての新たな議論を生み出すことでしょう。
公衆衛生政策にも波及するインパクト
この研究は、公衆衛生の分野においても大きなインパクトを持ちます。異なる文化や地域における睡眠の質と量の違いを理解することは、効果的な健康促進政策や介入プログラムの開発に不可欠です。例えば、睡眠不足が社会的な問題となっている地域では、ワークライフバランスの改善やストレス管理のためのプログラムが必要とされるでしょう。
エダンズのエキスパートが、独自の視点で切り込む!
大規模データセットの構築は、現代研究において非常に重要
この研究における最大の長所は、ビッグデータの解析において参考になる点が多いということです。具体的には、以下のような点が優れていると言えるでしょう。
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データの包括性と規模
この研究は、35カ国、23万人以上のデータを基にしており、その規模と包括性は類を見ないものです。この大規模なサンプルサイズは、信頼性と統計的有意性を高めることに大いに寄与しています。また、今回構築されたデータセットを二次利用することで、この分野の研究をさらに発展させられる可能性があります。 -
実生活におけるデータ収集
研究ではリング型デバイスを用いた実生活でのデータ収集が行われており、実験室環境下での研究にありがちなバイアスを避けることができています。これにより、より現実に即した睡眠パターンの分析が可能となりました。 -
多角的な分析
地域差、文化的背景、社会経済的条件など、多様な要因を考慮した分析が行われており、睡眠パターンの理解を多角的な視点から深めることができている点もこの研究が優れているポイントです。
今後の研究に向けてのポイント
気候変動のエキスパートであるティナ博士からこの研究を見ると、今後の睡眠研究に向けてのポイントとしては、緯度や日照時間など人々が住む国の気候環境を変数として捉えることが挙げられました。労働文化などの社会的要因に加えて、気候などの自然要因を分析することで、睡眠時間や睡眠の質に関する更なる洞察が得られるかもしれません。
いかがでしたか?
このエピソードでは、睡眠時間の国による差異を調査した最新の研究を、エダンズのティナ博士が紹介する様子をお届けしました。今後も興味深い研究について発信していきますのでお楽しみに!